第86話
「押せばいけると思ってたわけじゃないです。自信だって本当はなかった」
「……え?」
ぽつりと呟く私に
夏向さんが小さく首を傾げる。
感情の読みにくい色の無い瞳をした夏向さんを
真っ直ぐ見つめたまま、私は笑った。
夏向さん。
私、ずっと
夏向さんの彼女になりたかったです。
だけど、強引に押して
夏向さんのことを困らせて
私を好きじゃなくてもいいから付き合って欲しい。
そんな風に思ったことは
1度もないです。
「夏向さんには一番好きな人と付き合って幸せになって欲しいって思ってます」
―――私がなりたかったんです。
夏向さんの、“好きな人”に。
私は夏向さんの傍にいられるだけで
いつだって幸せでした。
私の傍にいる夏向さんにも
同じように、思って欲しかっただけです。
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