第82話

この気持ちをずっと大切に持っていれば

いつか振り向いてもらえると信じてた。


嫌だよ。

諦めたくないよ。


聞き分けのない心が、今でもそう何度も叫んでる。



だけど。




“でも夏向くんが私のことを好きだったら、もう仕方ないよね”



さっきのももさんの言葉が

頭の隅で何度も響いて、その度に胸がぎゅっと痛くなる。



夏向さんがももさんのことを

今でもずっと好きなのを知ってる。


ももさんが彼氏と別れたことを知れば

二人の間に障害は無くなる。



これが夏向さんにとって最高のハッピーエンドだと言われずとも分かっていた。



選ばれない脇役の私に

そんな2人を邪魔する権利はない。


私を好きじゃない夏向さんにとって

私のこの気持ちは必要ない。


胸の中いっぱいのこの想いも

いつかきちんと消さないとならない。



好き。

好きだけど。


きっと、もう二度と

伝えることすら出来なくなる。



分かってる。

ちゃんと諦める。



だけど

せめて最後に。


―――最後に、もう一度だけ。

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