「君が私を好きになってくれますように」
第64話
数日後の休み時間。
次の授業を受ける化学室は2年生の教室がある階にある。
トイレに寄るという愛弓とは別で
1人きりで教室移動する途中。
もしかして、会えないかな。
そう無意識に夏向さんの姿を探してしまう。
私はちらりと右手で握りしめたスマホに視線を落とす。
その背面、クリアカバーの下に挟んだ
夏向さんに買ってもらったペットボトルのラベルを眺めて思わずにやにやしてしまう。
なんだかお守りを手に入れたような
そんな無敵な気持ちだった。
本当に会えると思っていたわけじゃない。
だけどそんな私の願いが
もしかしたら透けてどこかに届いたのかもしれない。
「おーい、夏向」
どこかからその名を呼ぶ声がして
私は思わずぴくりと肩を跳ねさせると勢いよく振り返ってしまう。
廊下の先
見知らぬ男子生徒に呼ばれて足を止める夏向さんの姿を見つけて、思わず叫びたくなるほど感極まるのを必死に抑える。
うわうわラッキー。
夏向さんだ。
朝の桜の下と、体育館以外で
会えた幸運に感謝してしまう。
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