「君がこっちを向いてくれますように」

第40話

「瑞希、残念だったね。男バス試合負けちゃったんだって?」



翌日の教室。

朝練を終えて登校する私に、愛弓が駆け寄ってきてそう眉を下げる。


どこか憐れむようなその瞳に、私は思わず一度きょとんとしてから、それを自信を持って笑い飛ばす。



「そうなんだ。でも次はきっと勝つよ。夏向さんもそう言ってた」

「え?」

「絶対勝つって。だから笑ってろって言ってくれたんだ」



えへへと笑う私に、愛弓は驚いたような少し呆れたような、曖昧な表情を浮かべる。



「……そんなこと言われたの?」



どこか困惑したような目をされて

これがどういう種類の反応なのか分からずつい首を傾げる私に、愛弓は小さくため息を吐いた。

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