第23話
「もも、誰?」
「あ。マネの後輩。中学も一緒にバスケやってたから付き合い長い子なんだ」
そう甘えたような声色で振り返るももさんは、きちんとお化粧された目元で可愛らしく隣の男の人を見上げる。
一緒にいた男性は知らない人だったけど、肩からサッカー部のエナメルバックを下げている。
こんなところで会うなんて珍しいなと思ったけど、そういえばこの水飲み場の先には確かサッカー部の部室があったはずだ。
そして同時に、直前の申し訳なさそうなパフォーマンスは、この人へのアピールだったと気付く。
……彼氏、かな。
そう思うけど確認する理由も勇気もなくて黙る私に、ももさんは小さく笑ったまま可愛く小首を傾げた。
「私はもともと高校ではバスケやらないって決めてたけど、瑞希ちゃんは何で辞めちゃったの? 女バス入ってバスケ続ければよかったのに」
何が言いたいのか、何を言わせたいのか
意図のよく分からない質問が飛んできて、一瞬気持ちが怯む。
だけどそれを顔に出さないように気をつけて
私はへらりと笑うと、困ったように眉を下げたまま首を左右に振った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます