第3話
筋肉質だけどすらりと細身で背が高くて。
白くて綺麗な肌に、切れ長の瞳の綺麗な顔立ち。
それでも女子の注目を浴びていなかった夏向さんは見た目のハイスペックさをかなり無駄遣いしていたと思う。
夏向さんはあまり自分からおしゃべりをするタイプじゃない。
静かにコートのはしっこで黙々と練習をする彼は、あまり目立たず、初めは私も接点を持つことは無かった。
寡黙で仏頂面した夏向さんは
いつもどこか不機嫌そうで、近寄り難い雰囲気すら持っていた。
だけど、ある日。
男バスがオールコートで5on5の試合をしているいて、女子はすることがなく体育館の片隅でチームメイトと一緒に筋トレをしている途中。
なんとなく眺めたコート。
シュートを決めた夏向さんが笑っている姿を見た時
私の中で、時間が、固まった。
それは控えめな
だけど嬉しそうな笑顔だった。
……あんな顔して笑うんだ。
初めて見るその表情に
何かを予感して、胸がざわめく。
薄暗い体育館の中
夏向さんの周りだけ、やけにキラキラ輝いて見えた。
試合が終わった後もそのシーンが頭から離れなかった。
思い出す度、鼓動がドキドキ五月蝿くて、何だか息が苦しくなった。
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