恋と愛
第42話
生徒会本部が設置されてるのは校舎の一階、一般客や許可証のない鈴蘭生は立入禁止になってるエリアにある。
校舎の三分のニは公開されて模擬店やクラスの出し物で賑わってるんだけど、残りは警備軽減の為に非公開になってるんだよね。
上階の立入禁止エリアは無人だけど、風紀委員が定期的に見回りをしてるらしい。
園内で一般公開されてる場所はセキュリティ会社の警備員が常時見回ってるらしい。
たかが文化祭に大袈裟だなって半年前の俺なら思っただろうけど、臨海学校の件もあるし。
油断は禁物だよね、うん。
「正直俺も、栗山は美里の事を恋愛感情で好きなんだって思ってた。」
「、……」
そんな校舎一階の立入禁止エリアにある一室にて。
もきゅもきゅと遅めの昼食を頬張っていた俺は、同じく休憩中の栗山にそんな言葉を投げ掛けたのでした。
忙しさのピークも越えた午後二時過ぎ、プリンスから小休憩を取るよう言われた俺たち。
誰も居ない備品室に二人きり。
保護者会から生徒会に差し入れされた超豪華幕の内弁当を食べてたりする。
「…美味いな、この弁当。」
「ぶっ!おっ前、話そらすの下手すぎ。」
態とらしい芝居が逆に真面目な栗山らしくて、思わずクスクスと笑みが零れる。
窓際に椅子を並べ、爽やかな風を受けながらの束の間の休憩時間。
そんな中俺は、いつか聞こうと思ってた話題をズバリと口にしたのだった。
「悪ぃ、話したくねぇならいいんだ。
ただちょっと心配でさ、最近の二人の空気感っつーか何つーか…」
デリカシーなさすぎな話の切り出しを反省しつつも、結局その後何て続けていいか分からず語尾がゴニョゴニョ。
二人っつーのはもちろん美里と栗山の事で。
空気感っつったのは二人の間に前はなかった距離が置かれてるような気がしたからで…。
デバガメしちゃったさっきの今で何だけど、これを逃したら聞く機会なさそうだし。
あ、ちゃんと謝ったよデバガメの件は。
話全部聞いちまったごめんなって。
気にしなくていい、道を塞いでた自分が悪いんだって。
逆に爽やかに謝られたけどね。
「特に変わった所はなかったと思うが、どこか不自然だったか?」
「不自然っつーか…うん、その言葉がお前の口から出てくる時点で自然じゃなかったって事じゃね?」
「そうか…それもそうだな。」
俺のセリフに栗山は小さな苦笑いを一つ。
…ああ、そういや最近栗山の笑ったとこ見てなかったかもしんない。
美里と一緒に居る時でさえ、何か考え事をしてるって時が多かったかも。
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