afternoon

第39話

「じゃあね〜マコっちゃん、また後でね〜。」



「おーう、お互い頑張ろうなー。」




そう言って軍服を着たフラミンゴと別れたのが昼前の事。



空は快晴で気温も涼しく、来場客が生徒の親族だけとは思えないほどどんどんと客足は伸びていって。


それに応じて俺たち役員の仕事も多忙を極めていったのでした。






誠 side




俺の場合雑用が主な仕事だけど、ちょこまか動く分それはそれで大変で。



プログラムの微修正を各部署に伝えたり、逆に二日目に向けての要望を受け付けたりとか。


あっちへ行ったりこっちへ行ったりと、せわしなく動き回っていた。



腕んとこに『生徒会』の文字が入った腕章付けてっから、仕事中も結構な人に話しかけられたり道聞かれたり。


文化祭故のテンションか生徒会のコスチューム目当てか、モッサリ前髪な俺にも関わらず一緒に写真撮って下さいとかも言われたりして。



まぁそれも役員の仕事みたいなもんだから、ちゃんと丁寧に応対しましたよ笑顔を絶やしませんでしたよ。


バイトで培った接客スキルがこんなとこで役に立つとは思わなんだ。





(明日はこれにチケット持った招待客が加わるんだよなー…)




うっわ、考えたくねぇ。

これ以上の忙しさとか。


体力には自信あるけど頭がついてくるか心配。

今ですら忙しくて知恵熱出そうなのに。



終わった頃には俺だけじゃなく役員みんな灰になってると思う、うん。

後夜祭で踊る元気とか残ってないと思う、うんうん。



と、そんな事を思いながら中間報告をする為にプリンスの居る生徒会本部へと戻る道中。


近道をしようと、来場客は進入禁止になっている小道を早足で走り抜けていた…そんな時の事だった。





「――ず、ずっと好きでした!私と付き合って下さい!」



「!」




小さな噴水前で一組の男女が繰り広げる、お約束イベントに出くわしたのは…。



突然耳に入ってきたその告白に驚き、思わず足が止まり物陰に隠れる俺。


ちらりと前方を窺えば、真っ赤な顔をした女の子が意を決した様子で相手の男に想いを伝えてるのが見えた。





(あー…そっか、そうだよな。


文化祭だもん学生時代の一大イベントだもん、こーゆー裏イベントもあるよな。)




そんな風に一人納得しつつ。


つか俺これじゃデバガメじゃんと、反射的に隠れてしまった自分の行動にツッコミを入れつつ。



でもここ抜けたら生徒会本部すぐそこなんだよな、今更来た道引き返すのも面倒だなと。


どうしようかと俺はうんうん頭を悩ませたのでした。

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