鈴蘭´s festival

第33話

おいらはクラウン


陽気なピエロ



ナイフ芸にジャグリング


玉乗りだってお手のもの



最後にぺこりとお辞儀すりゃ


拍手喝采 あめあられ





















二学期最大とも言えるイベント、『鈴蘭祭』は月末の土日に二日間に渡って開催される。



一日目は生徒の保護者や親族、あと後援会の賓客のみ。


二日目はそれに招待状という名のチケットを持った一般客がプラスされる。



鈴蘭卒業生やら他のお金持ち校の在学生やら、国内外から招待状を受け取ったセレブやらが挙って来場するらしい。



生徒に発行されるチケットには一人当たりに限りがあって、チケットがほしい鈴蘭生は事前に申請しなきゃいけない。


チケットには招待客の名前が明記されてるから、本人しか利用できないようになってるらしい。



入場の際には本人確認の為の身分証の提示が必要で、正門には空港で見るような手荷物検査場が設置される。





(ま、とどのつまりセキュリティーは万全って事で。)




そんな説明から分かるように、鈴蘭祭のメインは一般客が来場する二日目。


一日目は言わば保護者用のデモンストレーションっつーか、鈴蘭生だけで純粋に楽しむ為の前夜祭みたいなものらしい。



つっても他の学校より何十倍も豪華絢爛なのは言わずもがななんだけどね。



つーわけで…





「マコっちゃ〜ん、たこ焼き食べよたこ焼き〜。」



「おーう、俺は明太子入りが食べたい気分なりー。」



「俺は〜かつお節いっぱいがいいなり〜。」




文化祭一日目、開幕でーす。













「ただ今より第一体育館で演劇部によるミュージカルが行われます、第二体育館では午後よりファッションショーが…」



「プログラムが必要な方は、実行委員に気軽に声をお掛け下さーい。」




パンパンと文化祭の始まりを知らせる空砲が秋空に響き、一時間もしない内に会場は大賑わいとなっていた。


つっても来場客の多くは上流階級の紳士淑女な保護者ばかりだから、耳障りな騒がしさはない。



たまに子供のはしゃぐ声が聞こえてくるのは在校生の兄弟かその親族か。


着ぐるみのウサギやゾウから風船をもらう姿は何とも微笑ましい。





「微笑ましいとか〜マコっちゃん何かお年寄りみたい〜。」



「歯に青ノリくっつけてるお子ちゃまに言われたくないやい。」




そんな会話をしながらたこ焼きを頬張る俺とトキ。


二人とも首から宣伝用のプラカードを引っさげてますけども何か。

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