第15話

二人並んで廊下を歩く。

赤の塔から教室へ登校です。


教室に行くには階段を使った方が早いから、エレベーター横にある扉にシュバッとカードキーを通した。



二人並んで螺旋階段を下りる。


下は見ません怖いから。

下は見ません怖いから。





「忙しい時に一人私用で休んでしまってすみませんでした、桐原先輩にも先程お詫びしてきたところで…」



「いいってそんなの、気にしなくて…って一番下っ端の俺が言う事じゃねぇけど。」




ポリポリと頬を掻けば、傍らの美里がクスクスと笑う。


何でも美里は昨夜遅くに帰ってきたらしく、つい今さっき生徒会室に顔を出してきたところみたい。



俺も資料室行く前に生徒会室に寄りましたよプリンスに会いましたよ。


お昼休みに一緒にランデブーしないか的なお誘いがありましたよ断りましたよ。

トキとランチの約束があったんで断りましたよ。



けどあんまり残念がるもんだから、冗談混じりに


『また今度ねそーちゃん☆』


ってブリッコで言ったら顔逸らされましたよ。



うん、モッサリ前髪のままブリッコはないわなキモいわな。


朝っぱらからプリンスに変なもん見せちゃったな悪い事しちゃったな。ごめんよそーちゃん。





「栗山は?一緒じゃねぇの?」



「マロンちゃんは剣道の大会に出場していて、夕方には学園に戻るそうです。」




あー、そーいやそんな事言ってたような。


文化祭前で生徒会忙しいっつっても、授業や部活動やらをおろそかにはできないからな。特に一年組は。



生徒会や風紀は授業休んでも公欠扱いになるらしいんだけど。


行事一週間前の最後の追い込みの時まで、その特権が使われる事はほとんどないらしい。



…まぁ時期とか関係なく、生徒会のトップがその特権をバリバリ悪用してる感は否めないよね。





「あの…誠さん、今日この後お時間ございますか?」



「え?」




今日もサボりやがったら見つけ次第鼻の頭にデコピンしてやるバ会長め、とそんな事を思っていれば。


傍らの美里が思い悩んだように、眉を八の字しながら俺を見上げてきていた。



首を傾げながら先を促せば、美里は少し躊躇いながら口を開き…





「おっ折り入って、ご相談したい事があって…。あの、迷惑でなければ、その…」



「もちろん、俺でよかったら何でも聞くぜ。」




一も二もなく頷く。


もちもち、えんじぇるの相談なんて喜んで乗っちゃうぜ。



そんな俺の言葉にホッと安心したように息を吐いた美里は、ありがとうございますと笑みを零したのだった。

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