朝の珍事
第14話
覚悟って何の!?とか。
逃がさないって何!?とか。
色々ツッコむとこがあったけど、それ以上の事を聞く勇気はありませんでした。
だってノエルちゃんの気持ちを明確に、言葉で聞いたとして。
それから何事もなくノエルちゃんと普通に喋れる自信なんて、俺にはなくて。
ノエルちゃんもそれを知ってか知らずか、今までと特に変わった様子もなく俺に接してくるし…
(…ズルいかもしんないけど、俺としてはそれがありがたいっつーか。)
ただそーゆー…れっ恋愛対象として見られてんだってのは、いくら俺でも分かったんだけど。
俺のどこをどう見てそーゆー対象になったのか、不思議でならなくて。
だって世の中は可愛い女の子で溢れてんだぜ。
髪の毛クルクルで服はフリルで、睫毛ぱっちりで唇ピンクの女の子らしい女の子が居るんだぜ。
何もこんな喧嘩上等で背もデカくて、絶賛男装中のモッサリ外部生じゃなくたって…。
プリンスといいノエルちゃんといい…何で俺?
「会長の事ゲテモノ食いって言ってるノエルちゃんだって、充分趣味悪いよ。
ノエルちゃんならキュートな年下からグラマラスなお姉様まで選り取り見取りじゃん、何も俺じゃなくたって…。
……ノエルちゃんってもしかして実はマリモフェチ」
「訳分かんねぇ事ブツくさ言ってんじゃねぇ、犯すぞコラ。」
イイコちゃんな俺は即座にお口チャックしたよね、うん。
まぁだからっつって何が起こるわけでも変わるわけでもなく。
台所での一件があってから最初の内は、俺もそわそわ挙動不審になってたんだけど。
ノエルちゃんがホントに全くって言っていいほど普通にしてるもんだから、俺一人意識しまくってんのもおかしい気がして。
一週間もしない内に、俺たちの間に流れる空気は元通りになっていた。
取りあえず俺が出した結論は『ノエルちゃん趣味悪いな』ってな、どこか他人事のようなものでした。
そんな、ある日の事…
「あっ、美里!」
HR前の朝、赤の塔最上階。
放課後の仕事の下準備の為に資料室に来ていた俺は、その廊下で見慣れた後ろ姿を発見した。
俺の声に振り返ったのは言わずもがな、めちゃんこキュートなえんじぇる美里で…
「誠さんっ、おはようございます。」
「はよ、何か久しぶりだな。」
ここ一週間以上姿を見てなかった美里の笑顔に、ホッと癒される。
確か実家の用事で帰郷してたんだよな、もう用は済んだのかな?
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