危険人物!

第85話

??? side




毎日が同じ事の繰り返し



毎日が同じモノとの戦い




だったらその中で



自分なりの愉しみを見つけたって



罰は当たらないだろう?


















誠 side





「初めまして、外部生君。



私は、





桐原 聡一郎(キリハラ ソウイチロウ)。




鈴蘭二年生で、この学園の生徒会副会長をさせてもらってるよ。」




宜しくね、と言葉を続けて俺に握手を求めてくるお伽の国の王子様。


もとい、桐原先輩。



そんな丁寧な自己紹介をされたら、俺も返さないわけにはいかなくて…





「黒崎 誠です、知ってるみたいッスけど今年から入った奨学生です。


えー…宜しくお願いします。」




そう言って差し出された桐原先輩の手を取る。


うん、俺何気に自己紹介で握手交わすとか初めてかも。



その手を取るまでに少し時間がかかったのは、ちょっとした俺の抵抗。


だって…





(…あんまお近付きになりたくないなー、なんて。)




偏見よくない、第一印象で決め付けるのよくない。

それはごもっともなんだけど、何かこの王子いやーな匂いすんだよね。


俺の第六感が危険危険!って警報器鳴らしてんの。



五人組が去っても周りの野次馬は解散する気配ないし。

つか俺が王子と握手しただけで非難の悲鳴が上がってっし。


…うん、俺自分の直感信じる。





「仲裁に入ってくれてありがとう御座いました、助かりました。


んじゃ、俺はこれで。」




もう会う事もねぇだろうけど、と心の中で付け加えて。


お礼を言った俺は桐原先輩に片手を上げて、早々に立ち去ろうとした。



そうしてカート君と、中断してたショッピングを再開しようとしたんだけど…





「そんな、お礼を言われるほどの事じゃないよ。


むしろ彼らがとても失礼な態度を取ってしまってすまなかったね、副会長として彼らに代わって謝罪するよ。」




そう言って桐原先輩は、まるでエスコートするみたいに。


にこやかな笑みを浮かべて、俺の代わりにカート君を押し始めて…。



…え、もしかして一緒に買い物回るつもり?

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