第2章後編 コンビニ事件簿

自称コンビニ

第73話

「ふわあ…」




大きなアクビを零しながら、眠い目を擦り。


何とも濃厚な入寮初日から、一夜明けた本日。



花柄カードキーを手に取った俺は、スズラン館一階にあるっつーコンビニへと向かっておりました。




時刻は朝の九時。


普段ならお寝坊さんな時間帯だけど、今の俺はちと寝不足気味で。



まぁそれでもちょこちょこ仮眠して計四時間は寝てるんで、完徹ほどの疲れは残ってねぇけど。





(昨日はまさやん以外誰とも出会さなかったったけど、結構人入ってんだなー。)




いよいよ入学式を明日に控えた、入寮二日目。


コンビニへの道中、ちらほらと他の寮生とすれ違う。



スズラン館総合玄関正面にある、あの二俣の階段に向かってる俺とは別方向に足を向けている寮生達。


どうやら朝ご飯食べに、食堂に向かってるみたい。





(食堂か、興味あるけどそれはまた次の機会だな…)




ソイツ等を横目に、なっがい廊下を進む。


ちなみに未だに前髪はモッサリ中。



ヤーさんの看病で、荷物のどっかに紛れ込んだお気に入りのピンを探す暇なかったもんで。


そんな龍ヶ崎クンは昨日暴れたせいで、まだまだベッドの住人です。



俺が出掛ける直前、目を覚ました大型獣は自分の部屋へと戻ろうとしてたけど。


ベッドからの第一歩で、崩れ落ちたてたから…





「大人しく寝とかねぇと、脇にもう一発入れるぞ。」




って脅し…注意したら、俺の事をじっと睨み付けた後。


渋々ながらベッドに戻って、俺に背を向けて横になっていた。



まぁ俺も、病人相手に二度も手上げるなんてちょっとは反省してんだ。


…ちょっとだけね。



だってそうでもしないと言う事聞かねぇんだもんよ、あの手負いの獣。





(薬飲ませといたけど、何か栄養のあるもん食べさせねぇとな。)




あ、あと湿布も切れたんだった。

アイツの脇腹に貼ったのがラスイチだったんだ。


売ってるよな、多分。



庶民派な俺にとっちゃコンビニって、定価販売がネックだけど。


意外と品揃えいいから、必要な物は粗方買えるよな。うん。

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