第49話

「…広っ。」




今日だけで何回驚いただろ。


広い廊下を通りドアを開けた俺を迎えてくれたのは、これまた広いリビングで。



中央には一対のソファーが、アンティークなテーブルを挟んで向かい合わせに置いてある。


ダイニングキッチンまであって、冷蔵庫を始め最新家電が置かれてるのが見えた。



液晶テレビあんじゃん。

何インチのでかさだよコレ。

さすがはお金も…。


うむ、もう言い飽きたなこのセリフ。



多分ここは共有スペース。


奥の壁には同じ形のドアが二つ。

おそらくどっちかが俺の部屋。



ま、直感で…





「えいっ!…あったりー。」




向かって右側の部屋。



今日から俺のマイルームだ。










――――……





「っ終わったあ!」




自室に入って約一時間。


俺がそんな声を上げた時には、もうすでに窓の外はとっぷりと日が暮れておりました。



部屋に入って、早速荷ほどきに取り掛かった俺。


ギリギリまで必要だった物は、ずっと肩から掛けてたバックの中に。

んで、家から送った荷物は段ボール一箱分しかなかったんだけど。



なぜか部屋には段ボールが五箱もあって、あらびっくり。


案の定というか、それらは三鷹さんからの差し入れの品々で。

新品の服や靴に、アクセ類が大量に。



うん、俺あんまり服のバリエーション多くねぇから。

嬉しいです、こんなにたくさん。

ホントありがとう三鷹さん。


でもさ、これはちょっと…セクハラじゃねぇの?





「…らんじぇりー。」




ちょっと小振りのダンボールに入ってたのは、溢れんばかりの…可愛い下着で。



量販店で売られてるような物じゃなく。

下着専門店で売ってそうな、レースのブラとパンツにキャミソールまで。


…俺、スポーツブラ派なんだけどな。



そんな下着と一緒に入ってた附箋(フセン)には、何とも三鷹さんらしい文章が添えられてて…





『入学祝いだ、受け取れマコ。


お前も今年で十六になんだ、ちったあ女らしくしろ。


…俺以外の男においそれと見せんじゃねぇぞ。』




うん、最後の一言に親バカを感じるよ三鷹さん。

道理で服も、スカートが多いわけだ。

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