第46話

そうして、玄関の明かりの下に現れたのは――…







「…あ゛?誰だテメェ。」






めっちゃ怖い形相の



ヤクザでした。





(…?えっと…、)




てっきりかわいい女の子が出てくると思ってた俺は、想定外で正反対な人物の登場に一時停止状態。


思わずそのヤクザ男を凝視してしまう。



黒髪をオールバックにして、強面な顔を更に険しくしてるその男。


格好はTシャツにジーパンっつー普通の私服だけど、いかんせん顔が怖すぎて借金取り立てに来たヤーさんにしか見えない。



つかでけぇんだけど。

俺よりでかい三鷹さんやまさやんより、更に背でけぇんだけど。


190以上あんじゃねぇのコイツ。

ガタイもいいからより一層大きく見える。



え、つか、マジで何で?


は、え、何で男がここに居るわけ?

つか、は、何で俺ガン飛ばされてんの?



頭の中が混乱状態で、どう反応していいか俺が迷っていれば。


無視されたと思ったのか、ソイツは眉間の皺を更に深くして…





「テメェ、聞いてんのかこのオタク野郎。」




ドスの効いた声で。


人一人殺せんじゃねぇかってくらい鋭い眼光で。



相手を恐怖で気絶させんじゃねぇかってくらいの鬼の形相で、俺を睨み付けてきたその男。



普通の人なら震え上がって失禁もんの脅し方だよ。

お年寄りの心臓も止めかねない勢いだよ。


ヤンキーを見慣れてる俺ですら、ちょっと身構えちゃったし。

けどすぐに俺の中で、ムクムクと不審感が芽生えてきて。





(ああん?テメェの方こそ誰だよ、何勝手に他人(ヒト)の部屋に入ってんだよ。)




モッサリとした前髪の奥で眉を潜めながら、そのヤクザ男にガンを飛ばし返す俺。


ここ俺の寮室だし、名札プレートチェックしたから確かだし。



テメェの方こそ何してんだよ。


女子寮に堂々と忍び込むとか、どんだけ面の皮厚い変態だよ。



いきなり現れて開口一番から喧嘩腰って、おうおうやろうってのか。


つかオタク野郎って何だよ、俺別にオタクじゃねぇし。

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