第38話

「二つの寮は各階でも完全に遮断・隔離されてっから、直接の行き来はできねぇようになってる。


二階に一年、三階に二年、四階と五階に三年が入って暮らしてる。


一階は共有フロアになっててコンビニや談話室、医務室やジムなんかもあるぜ。」




隣に座ってテーブルの上に館内地図を広げ、説明してくれるパツキン寮長さんにふむふむ頷く俺。



ほお、何てゆーか。


こんなバリバリの洋館に、コンビニあるってすげぇよね。



あとで行ってみよっと。





「質問、何で三年生だけ四階と五階使ってんの?」



「一年・二年は二人で一部屋だが、三年は受験生だからな。


一人部屋を割り当てられるんだ。」




へー、贅沢。


まぁこんな豪勢な洋館に住める事自体、俺にとっちゃ贅沢の極みだけどね。



つか同室者居んのか。


いいな、賑やかで楽しそう。

やべ、早くもワクワクしてきた。





「お前は二階の一番奥、角部屋の2083号室な。


分かんねぇ事があったら同室のヤツに聞いた方が早ぇだろうが、俺は大抵この部屋に居っから何かあったら…。


いや、何かなくてもいつでも遊びに来い。歓迎するぜ。」




そう言って、俺の頭をポンッと撫でた金髪寮長。


女にしちゃ高めの身長だけど俺、何でか年上に頭撫でられっ事多いよな。

主に三鷹さんとか三鷹さんとか…三鷹さんとか。





「分かった。ありがとな、まさやん。」




俺がニカリと笑顔でお礼を言うと、まさやんは少し目を見開いた後フッと目を細めて笑った。


うお、ちょっとドキッとした。

まさやん無自覚フェロモン出てんよ、ふぇろもん。





「っと、忘れるとこだった。これがお前の部屋の鍵だ。


普通は学年ごとに色分けされてんだけどな、それは外部生専用の特別仕様なんだと。」



「…そーなんだ。」




そう言ってまさやんに渡されたのは、一枚のカードキー。


…ピンクの花柄の。



これ、明らかにしのちゃんの趣味だよね。


まぁ可愛いからいいけどさ。

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