まさやん

第35話

誠 side





「これ、何ccあんスか?1000?」



「1500ccだ、一昨年免許が取れた時に買ったんだ。中古だけどな。」



「すっげー、んな格好いいバイク乗ってる人初めて見た。」




俺と半田先輩はすっかり打ち解け、未だ門前でバイクについて語り合っていた。


半田先輩は『金髪ロン毛のヤンキー』っつーちょいヤンチャな第一印象と違って、気さくでいい兄貴的な性格の人だった。



でもやっぱ坊ちゃんなんだな。


中古のバイク乗ってるってのに一気に親近感が湧いたけど、すぐにある事に気付いて内心苦笑。



俺、半田先輩のこのバイクと同じ車種の知ってんもん。

バイク雑誌でだけど見た事あんもん、結構有名だよな。





(このメーカーでこのモデルで、この年製造のバイク。


確か最低でも一台、百五十万円以上する品物だぜコレ。)




いわゆる今はもう生産されてねぇ、絶版のバイク。


人気が根強くてプレミアが付いてて、中古だけどめっちゃ高級なバイク。



しかも見たとこかなり状態いいし、下手すりゃ二百越えんじゃねぇの。


…同じ高校生とは言え、やっぱ金持ちは違うのな。





「よしクロ、後ろ乗れ。寮まで連れてってやる。」



「え、いいんスか!?」



「ああ、コイツにゃ俺以外跨がせるつもりはなかったんだが。


お前なら特別にいいぜ、ほら座れ。」




やった、らっきぃ!



んなプレミアバイク乗れる機会とか、滅多にねぇし。

振動生で感じれるとか嬉しすぎる、つか音聞きたい音。


しのちゃん、半田先輩を寄越してくれてマジでありがとう!



…って、ん?





「『クロ』?」



「ん?ああ、お前髪真っ黒だし名前も黒崎だろ?


だから『クロ』。」




あと敬語止めろ、タメ口で構わねぇぜ。


そう言って、バイクに跨がりニヤッと笑う半田先輩。



やべ、マジでいい人じゃんこの人。

ワイルドで格好いい、まさに兄貴って感じ。


んじゃ、早速お言葉に甘えまして。





「分かった、ありがと。



――まさやん。」



「『まさやん』!?」




雅貴の『まさ』と、あと親しみを込めてヤンキーの『やん』。



合わせて、まさやん。


はい決定ー。

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