桜並木

第24話

カメラ side




麓から山頂へと真っ直ぐ続く、長い長い煉瓦畳の坂道。


その両脇には桜が植えられており、この時期見事な桜並木となって見る者の目を楽しませていた。



風と舞い遊ぶ桜の花びらは、幻想的でとても美しい。


そんな桜並木を通り抜けると、頑丈で巨大な壁に守られた要塞『鈴蘭学園』の門が見えてくる。



日本だけでなく、世界中にその名を轟かす全寮制の名門高校。


もはや【鈴蘭】が一種のステータスとなって、ここの卒業生というだけで上流社会での扱いも違ってくる。



その為、財閥や大企業の役員、政治家や高級官僚、またごく一部だが裏社会――マフィアや極道の子息子女が挙ってこの学園に入学してくる。


また各業界のエリートを数多く輩出しており、スポーツや芸術の才能に長けた若者達も積極的に集められていた。




そんな鈴蘭学園へと続く花道を、ボロボロの旅行用バックを肩に掛けて上る一人の若者の姿があった。




この物語の主人公



黒崎 誠、



その人だ。






「~っ、長ぇんだよこのクソ坂道がああ!!」





…もうかれこれ、一時間の登山になろうとしていた。












誠 side




立花道場から車で行こうとすると、約二時間。


けどタクシー代がもったいなくて、俺は電車に乗って学園近くの街へと向かった。



んでもって駅から更にバスに乗り換えて、俺はようやく鈴蘭学園のある山の麓(フモト)のバス停に辿り着いたのだった。





「うっわ、綺麗だなー。」




長時間の移動に早くも疲れた俺を出迎えてくれたのは、満開に咲き誇る桜並木。


それをしばらくボーッと眺めていた俺は、肩に掛けたバッグを抱え直すと山頂へと続く坂道に足を掛けたのだった。



学園の正門はこのでっかい山の頂上付近、つまりこの道の先にある。


学園から送られてきたパンフレットに、そう書いてあった。

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