side MITAKA

第20話

―――……





「んぅ、んー…」



「……」




腕の中で、すやすやと。


無防備な顔で、寝息を立てながら眠る愛しい存在を俺は見つめていた。



男前と言われる目鼻立ちの整った容姿に、女にしては高い身長。


そこにコイツの性格や、言葉使い。

喧嘩の強さが加われば、殆(ホトン)どの奴らがマコを男だと間違える。



…スカートなんて着ないしな、コイツ。



でもやっぱりアイツの娘だ。


アイツの性格をそっくり受け継いでやがる。






『何やってんのよミタカ、ほら行くわよ!』





アイツが…直子が死んだなんて、信じたくなかった。


マコ坊から知らせの電話を受け取った時も、にわかには信じられなかった。



だが今日、まだ出来て間もない小さな墓の前に立って。


そこに供えられた花や線香の匂い、そして冷たい冬の風を感じて。



そして久しぶりにマコに会って、その涙を目の当たりにして。


ようやくそれが、現実なんだって事を悟った。




ああ。


ホントにアイツはもう、逝っちまったんだなって…。






『ミタカ、もし…もしあたしに何かあったらさ。


お願い、マコの事――……』





ああ、分かってる。


大丈夫だ、安心しろ。



お前の娘を、俺達の宝もんを。


愛した女の忘れ形見を、絶対独りには…しねぇからよ。






第1章 黒崎誠の…ひみつ?


~End~

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