第19話

三鷹さんの美味しい手料理に、お説教で沈んでた気持ちもすぐに上昇。


ご機嫌で唐揚げを頬張る俺に、三鷹さんもビール片手に笑顔を零す。



その後はいつも通り、二人で一緒に晩飯の後片付けをして。


会えない間できなかった三鷹さんとのお喋りを、ひとしきり楽しんだのでした…。











――コンコンッ




深夜、三鷹さんの寝室のドアをノックする俺がいた。



扉が少し開いていて、そこから中を覗けば。


ベッドに座って、たくさんの書類に目を通してる三鷹さんがいて…





「どうした、マコ。」



「…三鷹さんさ、いつまでこっちに居れんの?」




その場に立ったまま、俺はポツリと問いかける。


少し下を向いてんのは、その答えがどんな物か何となく分かってるから。



三鷹さんは本当に忙しい人で、仕事で何日も徹夜する事なんて当たり前。

ホント、過労死するんじゃないかって心配になるくらい。


そんな大変なスケジュールの中、三鷹さんが俺と一緒に居れんのにも限界があるわけで…





「明後日、夕方の便で発つ。」



「あさって…。」




さっきも言ったように、この最上階フロアぜーんぶが三鷹さんの所有物。


いくつも客間があるし、それに応じた寝室もたーくさんある。



だから、寝る場所にはぜーんぜん困まらないわけなんだけど…





「…今夜、一緒に寝てもいい?」




また怒られるかなって不安になりながら、少し遠慮がちにそう聞いた俺。


でも時間の許す限り、少しでも多く三鷹さんの傍に居たかった。



三鷹さんは俺にとって、ホントの父さんみたいな人だから。


離れ離れになんのは、やっぱり寂しいから…。



三鷹さんにガキだって呆れられるかな?と、そんな不安から自然と下を向いてしまっていた俺。


するといつの間にか三鷹さんは、手にあった書類を片付けていて…





「…来い、マコ。」



「!」




俺のよく知ってる優しい声で、


呼んでくれたんだ。



三鷹さんは普段クールなのに、俺と居るときだけ口うるさくなる。


お説教はやだけど、それが擽ったくて嬉しくて、俺の顔には自然と笑みが浮かぶんだ。





「いいか、他の男のベッドになんか軽々入んじゃねぇぞ。」



「うん分かってる、えへへー。」




あー、やっぱ俺。


三鷹さんの事、大好きだー。

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