第16話

俺が疑問に思ったのも束の間、三鷹さんの怒鳴り声が広いリビングに響き渡った。





「――っテメェ何て格好してやがるバカマコ!服着てから出て来やがれ!!」



「!」




キーン!と。



三鷹さんの怒りの声に、思わず目を瞑(ツム)り耳を塞ぐ。


けど俺は怒られた理由が分からなくて、すぐに首を傾けた。



…?俺の今の格好?


バスタオルを体に巻き付けて、首から髪拭く用のヒヨコ柄タオルを掛けてる状態。



髪はまだ生乾きだけど、ちゃんと身体は拭いてきたし。


フローリングを水浸しにするようなヘマはしてないし、お風呂もシャワーで見ず流して軽く洗ってきたし。



…んー?





「何で怒ってんの?」




俺にとっちゃ至極素朴な疑問。


確かに服はまだ着てねぇけど、風呂上がったばっかで暑いんだもん。仕方ねぇじゃん。



それに、何年か前まで一緒にお風呂入ってたじゃん。


俺の裸、何度も三鷹さん見てるし。

俺も三鷹さんの裸も見てるし、今更んな事で恥ずかしがるような間柄でもないのに。





――ガンッ!!




俺がそう言うと、


三鷹さんからゲンコツ一つ。



…痛い。






「それはお前が小学生の時の話だろがっ!!


仮にももうすぐ高校生になるっつー『女』が、男の前に裸同然で出て来んじゃねぇ!!!」





……。



あっなんだ、その事か。

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