第11話

ただしのちゃんも仕事忙しいみたいで、ここ最近は話せてない。



だから…





「…アイツ、直子の件全く知らなかったらしくてな。


少し前に俺が連絡して、初めて知ったんだと。」



「……」




近所の人から昔馴染みの友達まで、母さんの葬式にはたくさんの人が来てくれた。


そしてその人達に母さんの件を知らせるのが、俺の最初の役目だった。



家の電話帳や母さんの携帯のアドレス使って、皆に…知らせた。


けどそんな中どうしても、連絡が付かない人達が何人か居て…





「しのちゃん、泣いてた?」



「……」




そっか…。


しのちゃん、母さんの事大好きだったもんな。

もっと早くに、知らせてあげたかったな。



あー、しのちゃんに会いたいなぁ。

会ってたくさん、話がしたい。





「お前の事心配してたぞ、自分が引き取るっつって電話の向こうで叫んでた。


喧(ヤカマ)しいから切ったけどな。」



「…ちょ、三鷹さん。」




しのちゃんからの嬉しい言葉にジーンと感動したのも束の間、三鷹さんの容赦ない仕打ちにツッコミを一つ。



俺の記憶じゃ二人って、あんまり仲良くなかった気もするけど。


喧しいから切ったって、さすがに冷たくないですか。



じぃっと。


隣から非難の眼差しを向ける俺に気付いた三鷹さんは、真っ直ぐと俺の目を見つめて一言。





「アイツに渡すぐらいなら俺が引き取る。」




…ふへっ。


思わず顔がにやけたよ。



そんな事真顔で言われたら照れるって。

本気だってのが分かるだけに嬉し過ぎる。


にやけ顔のまま俺は横から、三鷹さんの胸へと本日二回目のダイブ。



あー、三鷹さんもしのちゃんも大好きだー。





「で、その篠原だが近々日本に帰国する予定だ。


今言った鈴蘭学園の理事長に、就任する為にな。」



「えっマジで?しのちゃん帰って来んの?」




俺の身体に片腕を回した三鷹さん、その言葉にパッと顔が明るくなる。


しかもその鈴蘭学園ってのの理事長になるって事は、帰ってくるだけじゃなくしばらくは日本に居るって事だよな。

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