第4話

どんなに辛い事があっても


どんなに悲しい事があっても


時の流れは止まらない。








誠 side




母さんの葬式後、


天涯孤独の身となった俺。



黒崎 誠、ぴっちぴちの十五歳。


黒髪茶眼の純日本人です、以後宜しく。



突然ですが、ここでちょっと俺の現状について話を一つ。ごほん。




母さんと俺、親子二人きりの生活はそこまで貧しいもんじゃなかったけど決して楽だったわけでもなかった。



だから俺は、少しでも家計の足しになんならと。

中学に上がった頃から歳を誤魔化して、いくつかバイトを掛け持ちしてたんだ。


タッパもあって顔立ちも実際の年齢より上に見られる事が多かったから、高校生でも通用したし。



ただ母さんが『子供の仕事は遊びと勉強!』っつって俺が働くのをあんま良しとしなかったから、主に夏休みとかの長期休みの間だけ。


それでも朝の新聞配達だけは毎日してたけど。

放課後も母さんに内緒で色んなバイトに手ぇ出してたんだけど。



んでもって、母さんの葬式後はその数や時間を倍に増やした。

体力には自信があるからその点は大丈夫、うん。


というのも俺には、どうしても纏まった金を稼がなきゃいけない理由ができたんだ。




それは、高校に通う事。



母さんの生命保険が下りたお陰で、しばらくの暮らしには困らなかったんだけど。


高校への入学金や、それからの三年間の学費を考えると厳しかった。



本当は高校には行かずに、中学卒業したら働くつもりだったんだ。



でも生前に、母さんが…






『あたし、中卒だったからさ。


高校生活の楽しさってのをアンタには味わってほしいわけ、だから学費なんか気にしないの!


色んな事を経験して、色んな物を見て、いいオトナになりなさいマコ。』





そう、しきりに言っていた。


今となっては、母さんの最後の願い。



俺は、高校受験を決意した。

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