第87話

「─…俺のタカラモノが、傷ついた」




そう言って綺麗な顔を歪めた凛くんは、私の頬を伝う涙を指で掬うと、、




「傷付けてごめんっ…一生かけて償うから…バイバイなんて、言わないで─…柚ちゃん」





──… 一生をかけて償う、、



そう言って切なげに微笑んだ凛くんは、そのまま美しい顔面を近付けてきて…そっと触れるようなキスを落とした





「今日はウチに泊まってくれる?柚希を帰したくないっ…この意味、分かるよね?」





熱っぽい視線で私を見つめる凛くん。こんな風に急に男らしい発言をしてくるから心臓が持たない。






『──…凛くんと、一緒に居たい』





断るなんて選択肢は元から無い。私にとって凛くんは何よりも最優先事項なのだから。





「もう、外で泣くの禁止。俺の居ないところで泣かないで…勝手に一人で帰ったり、電話を無視するのもやめてよ。心配でどうにかなりそうだった」





可愛すぎる束縛に、またハートを射抜かれた

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