第86話

「──もういいよ、謝ったりしなくて…いい」




やけに近くで声が聞こえたと思ったら─…いつの間にか目の前に立っていた凛くんに…強く抱き締められた





『り、凛くんっ…なんで、』



「もう会わなくていい、柚ちゃんがあんな風に取り乱した時に…気付くべきだった。会いたくない友達だって居るよね。俺が無神経だった」






───会いたくない、友達?





「折原さんが、言ってた。柚ちゃんとは喧嘩したまま別れて…それっきり長い間会っていなかったんだって」





あぁ…またそんなよく分からない嘘をっ、、





「俺がっ、無神経だった。柚希が間違ったことをしたとしてもっ、俺だけは味方をしてあげるべきだった」



『凛くんっ、あの人は、』



「─…唇、見せて?」





凛くんは私の顎に手を添えて、クイッと上を向かせると…そっと指で私の唇をなぞる

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