第77話

『──…やめてっ!!!』




咄嗟に、有沙の身体を突き飛ばしてしまった。凛くんに触れられたくなくて、大好きな人にこの女が近付くことを避けたくてっ─…






「……痛いっ、」





私に突き飛ばされた有沙は、後ろに手をつき尻もちをついて倒れた





「っあ……折原さんっ、大丈夫…?」





何が起こったのか…っと、一瞬フリーズした凛くんだったけど、すぐに倒れ込んでしまった有沙の元に駆け寄る





『……凛くんっ、何してるの?』





有沙に手を貸して、立たせてあげている凛くんを見て…心臓が悲鳴をあげる。息が苦しいっ…やめて、その女に触らないでっ。





「なに…って、柚希が何してるの?友達なんだよね?何か理由があるにしても、暴力は良くないよ…それに一応ここ、医大だしね」





なにそれっ…ここが医大とか、いま関係ある?





『凛くんこっち来てっ…その人に触らないで』




「……折原さん、ケガしてる。ほら…手、血が出てる。分かるよね?柚希が突き飛ばしたからだよ?ちゃんと謝ろう…今のはどう見ても柚希がっ、」



『─…うるさいっ、凛くんバカだよっ!その人の言うこと本気で信じてるの?!友達ってなに…私がその人とっ、本当に、友達だって思ってるの?』



「柚希っ、怒るよ?今はその話関係ないよね?先にケガをさせたこと、ちゃんと謝って、」



『─…関係無くないっ!!どうでもいいっ!謝らないっ!私、悪いことをしたって思ってないから…謝らないよっ!そんなに心配なら凛くんが手当して、送ってあげればいいじゃん…』





そうだっ…私は悪くない。大好きな彼氏を過去に寝取られて─…いまも"友達"なんて嘘をつかれて再び大事な人を奪われようとしている。




冷静で居るなんて無理に決まってる。再会した時からずっと─…不安で押しつぶされそうだったのに。一緒にいるところを見せつけられた挙句、"友達"なんてっ、、

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