第69話

「……いえ、すみませんっ」




失礼します…っと言って有沙の方に歩いていく颯二を目で追っていると、その先でこちらを見ていた有沙と目が合った





彼女は私と目が合って直ぐに、口角を上げて笑った。その笑みが何を意味するのか…何となく分かった。





──…凛くんを奪おうとしている





なんの根拠もないけど、ただ何となく…そんな気がして、とても胸が苦しくなった。






「……柚ちゃん?」





無意識に下唇を噛み締めていたことに気付いて、慌てて顔面に笑顔を貼り付ける





『凛くん─…メガネ、辞めたんだ?』



「っあ…うん、何か風間が…コンタクトの方が…そのっ…柚ちゃんと、、キ、キスっ、」




突然顔を赤らめた凛くんは手で顔を覆って、





「コンタクトにした方が、柚ちゃんとキスがしやすくなるよって…アドバイスをっ//」





──…あの男っ、




私の名前を利用して、凛くんがコンタクトにするように上手く誘導しやがったなっ?!!

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