第70話

「……それより、さっきの男の子…誰?」




男の子…なんて言い方をする凛くんは、やっぱりいい人だなって思う。自分より年下だって分かったんだろうな…颯二は凛くんと違ってまだまだ子どもっぽいというか、、落ち着きがない






「柚希…?いま、誰のこと考えてる?」





ジーッと私を見据える凛くん。今まで何度も見てきたはずの凛くんの顔─…なのに全くの別人に見えてしまうのは何故だろう。





「……帰ってゆっくり話そう。そんな泣きそうな顔、外でしないでよ…柚ちゃん」






最低な元カレ颯二と再会してしまった事よりも、浮気相手だった有沙が凛くんと同じ大学に通っているという驚愕の事実よりも─…






凛くんが"非モテ"で無くなってしまったことが、何よりも悲しいと思っているこの気持ちを正直に伝えれば…凛くんはどう思うのだろうか






今まで彼を騙し続けた私のことを軽蔑して、別れよう…っと言われてしまうのだろうか





『………凛くん、ごめんねっ』



「……ん?何か言った…?ごめん、何か人増えてきて、、聞こえなかった」




周りの人が既に騒ぎ始めているのを見て、不安が確信に変わる。非モテでは無くなってしまった凛くんはきっとこの先─…モテ男の人生を謳歌したくなるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る