『……凛くんの、バカっ』

浮気をするということがどういうことなのか、凛くんは分かっていない。全然…分かってない

「……柚ちゃんっ、」

『私、凛くんに初めて会った日─…あのカラオケの部屋で、元カレのこと話したよね？』

＂元カレ＂っというワードに凛くんが一瞬顔を歪めたのに気が付いたけど、無視して続ける

『あの時凛くん、私に言ってくれたでしょ？』

【そんなことをする人、本当に居るんだね？

でもキミがこれ以上傷つけられる前に、

離れられて良かったって…僕はそう思うよ】

って─…私は凛くんのあの言葉に救われた。

『だから─…信じてるよ、凛くんのこと。凛くんが浮気をするような人じゃないってことは私が一番よく分かってるから…』

「……柚希、俺はっ」

『──ごめんね？嫌い…なんて嘘だよ？嘘に決まってるよ！でも嘘でも言うんじゃなかったって…今すごく苦しいのっ。凛くん、助けてっ』

助けて…っと、彼に縋った私を力いっぱい抱き締めてくれる凛くん。その胸に顔を埋めると、凛くんの匂いがして…とても落ち着く。

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