第60話

「─…ごめんっ、違うんだ…言い訳させて、」



『嫌だっ、何も聞かないっ!!もう嫌いっ!』



「───柚希っ!!」





聞く耳を持とうとせず、"嫌い"と連呼する私に…凛くんが初めて怒鳴り声を上げた





「……怒鳴って、ごめん。でもそんな何回も嫌いだって言われたら…さすがに辛いっ」





辛い…っと言った凛くんは、小さくため息をついて、、「とりあえず、お邪魔してもいい?」っと、私の手を引いて…部屋の前まで一緒に歩いてくれる





朝とはいえまだ明け方。普通に考えて近所迷惑だ…少し冷静になってきて、感情のままに凛くんに"嫌い"なんて言ってしまったことを早速後悔し始める






「─…お邪魔します」




こんな時でも靴を揃えて律儀に"お邪魔します"と呟く凛くん。そういうところ…ほんと好きだなぁって思う





「……ソファー、座ってもいい?」




そんなこと、いつも聞いたりしないのに…っと思いつつ、ゆっくり頷くと…凛くんは私の手を引いたままソファーまで向かい─…そのまま二人で一緒に座ることに。





「──まず最初に、ごめん。電話してくれたんだよね?風間から聞いた」





やっぱり─…その話か。





「勉強するって言って風間の家に泊まったのは本当だよ。朝からずっと二人で勉強してて、夕方くらいにさすがに疲れたねって話しになって…二人で風間の家で少しだけ飲んでたんだ」




『凛くん、お酒弱いのにっ…』




「うん─…だからすぐ寝ちゃったんだよ。風間の家のリビングで爆睡。起きたのは本当にさっき、4時くらい」





──…ほんとに?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る