第45話
『──ねぇ、凛くんっ…その髪、』
「っご、ごめん…柚ちゃんっ!!なんかっ…風間に騙されてっ、散髪屋に連れて行かれちゃった」
──…散髪屋…?美容院じゃなくて?
いや、凛くんの場合…理容室と美容室の違いもきっとよく分かっていない。髪を切るお店という点では同じだが、理容師と美容師では免許が異なる。実は全く違う職種扱いであることを…彼はおそらく知らない。
って…そこはいま重要ではない。凛くんが風間に騙されて連れていかれたのが美容室でも理容室でも…どちらでもいい。問題なのは凛くんの髪型。恐れていたことがついに現実になった。
彼の長くてウザかった重たい前髪は眉の辺りまで切られ…首が隠れるほど長かった後ろ髪も、刈り上げられてスッキリしている。ヘアアイロンでも使用されたのか、KーPOPアイドルのようなウェーブのかかったセットをされていて
普通に…いや、普通以上に、、カッコイイ。
あの昭和感溢れるメガネは掛けているけど…それだけでは隠しきれていない、凛くんの"美"の部分がさらけだされている。
「ごめんっ…俺が切りたくて切った訳じゃないんだっ…ほんとに、本当だからっ!絶対にこの先、髪は切らないし…柚ちゃんがいいって言うまでずっと伸ばし続けるからっ…だから、許してくれる…?」
わざわざ、それを私に言う為にここまで来たの?電車を乗り継いで…髪を切った言い訳をする為に、わざわざここまで…?
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