第36話

『──ごめん、私この後予定あるから、』




凛くんの大学に寄ろうと思っていたので、やんわりとお断りをしてみせると、




「マジか。じゃあ仕方ないなー」




っと、意外にもあっさり引き下がってくれたのでお礼を言って立ち去ろうと思った。その時だった─…





「……ん?なに、あのダサい男。うちの学校の奴…じゃねぇよな?」



「めっちゃこっち見てない?!っえ、柚希ちゃんか真琴ちゃんの追っかけとかそっち系?!」



「怖ぇ…危ないから駅まで送るよ」




なんて言われ、まさか…と思って彼らの視線の先を辿ると─…





『───凛くんっ!』





"ダサい男"と言われ、こっちを見てボーッと立っているのは…間違いなく私の彼氏、凛くん





なんでここに居るんだろう?もしかして私のことを迎えに来てくれたの?!





凛くんの元へ駆け寄ろうとした私の手を、先程定期券を拾ってくれた彼がグッと掴んだ





─…何してんの、この人




「っえ、ゆずっち…あの人と知り合い?!」




信じられない…みたいな顔をして私に尋ねてくる彼に、首を縦に振って頷く





『知り合い…っていうか、彼氏だよっ!私の彼氏の凛くん!っあ、定期拾ってくれてありがとう!また明日ね!』




「ばいびー、柚希。凛くんによろしく」





呆然としているメンズたちを放置して、手を振ってくれた真琴に手を振り返して…少し離れたところで立っている凛くんのところまで走った

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