第14話

その後本当にご飯に行く約束をして、初めて二人きりで会うことになった時も─…





「っあ…速水さんっ、」





待ち合わせ場所で私を待っていた凛くんの私服姿を見て…失礼ながら"センス悪いなぁ"っと改めて彼のダサさを目の当たりにした。





──…しかし、




「今日はこの前と髪型…違うね。ヘアセットしてもらったの?成人式でしか見たことないっ、女の子が髪の毛、セットしてるところ」





なんて、この前会った時との違いをすぐに気付いて言葉にしてくれる凛くん。内容はぶっ飛んでいるけど…気付いてくれたことが素直に嬉しかった。




髪をアレンジしたりネイルを変えたりしても、元カレは一度も褒めてくれたことなんて無かったからっ。





『自分でセットしたよ…一応そういう学校通ってるからね。凛くんが薬とかに詳しいのと同じだよ』





2回目、なのに気を遣うことなくタメ口なのは…会うまでに何度か電話のやり取りをしたから。





凛くんの低くて、少しハスキーな声は聞いているだけでとても心地よくて…電話を繋げたまま眠ってしまうこともあった






「えっと─…じゃあ、行こうか」




恥ずかしそうに私の隣に並ぶ凛くんを見て確信した。"私、この人のことが好きだ"って。





会うのはこれが2回目だけど…もっと凛くんのことが知りたいって思うし、もっと私を知って欲しいとも思う。






─…これってもう、好きってことじゃない?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る