第11話

『……ありがとう、ございます』



小さくお礼を告げて、テーブルに置かれたチョコレートを手に取る




しかし…ジェルネイルで派手に彩られた私の爪は、チョコレートの包み紙をなかなか上手く開封することが出来ない





「……キレイな爪ですね」




私の手の中にあったチョコレートが、隣から伸びてきた凛くんの手によって奪われる




細くて長い指が、チョコレートの包み紙を丁寧に開封し…それを再び私の手のひらの上に乗せた





「─…どうぞ、」




って、一瞬微笑んだ彼を見て…不覚にも胸がドクンっと高鳴ったのが分かった





───人は見た目じゃない。





そんな言葉の意味を、

初めて理解した瞬間だった

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