第10話
「……これ、良かったらどうぞ」
二人きりになってから15分くらい過ぎた頃、凛くんが私に話し掛けてきた。何を差し出してきたのか…っと、視線だけ送ってみると、、
『─…なに、これ?』
年上の彼に向かって開口一番タメ口をつかう私を怒ったりすることも無く、"何か"と聞かれたモノをそっとテーブルの上に置いた。
「チョコレートです。」
一個30円くらいでよく売られている正方形の形をした手のひらに乗るほどの小さなチョコレート菓子。
───なぜ、チョコレート?
っと、質問する代わりにジッと彼の目を見つめて何を考えているのか悟ろうと試みる─…が、この凛くんという男はどこまでも掴めない男で
「……チョコレートの代表的な栄養成分であるカカオポリフェノールには…体内の酸化を抑える抗酸化作用があります。その為…疲労回復につながったり、精神の安定・リラックス効果が期待できます。」
なんとも、医大生らしいワードが飛び交って…正直内容は全く頭に入ってこなかった。でも、
「まぁ…このチョコレートは甘さ重視の万人受けタイプのお菓子なので、糖分の方が多いと思われますが。少しは…癒しの効果が期待されると思います」
彼なりに、私を慰めようとしてくれている…っということだけは何となく分かった。
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