第9話

「うっわぁ…最悪、あと1キルで一位だったのに…手榴弾投げてくるのはナシだろっ…クソ…芋砂いもすなプレーヤー、滅びろ」




っと、一人の男の場違いな発言が部屋中に響き渡り…私の失恋話など一瞬にしてもみ消された





「おいっ、りん!!お前っ、こんなとこ来てまでゲームするなよっ!失礼だろっ、」





凛…と呼ばれた彼は、、他の学生に比べ一人だけズバ抜けて地味な男の子だった




端っこに座り、ずっと俯いて静かだなぁとは思っていたが…まさかゲームをしていたとは。




「あー…ごめん、いまイベント開催中で一位になったら4枚メダル貰えるんだよね。20枚ためたら1回ガチャ引けるからさぁ…つい。」





コンパ < ゲームのイベント




おそらく彼も私と同じで数合わせのために連れてこられた被害者なのだと悟った。それは私だけではなく私の友人達も同感だったようで。





「………席替えしません?」





っという真琴の発言により、、




失恋傷心中の私とゲーム重視の彼は、各々の友人により半ば強制的に隣同士にさせられ…他のメンバーとは少し距離があくように、端の方に追いやられた






───酷い扱いだな




っと思いつつも…正直少し気が楽だった。出会いを求めて来たわけでは無さそうな、このオタクビジュアルな彼の隣にいるのは…すごく居心地が良かった。





取り繕ったりしなくていい、良く見せようと思う必要も無い。失礼ながらにもそんな風に思いながら…ただ黙って凛くんと呼ばれた彼の隣に座って時が過ぎるのを待った

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