第5話

凛くんは私のふたつ年上の医大生。いや…そうなんです。スペックまで高いんですよ私の彼氏






それに引き換え、美容系の専門学校に通っている私は─…当然の事ながら、凛くんがどのような大学生活を送っているのかを知らない





───だから、心配なんです





だって…本当の彼の姿を知れば、きっとみんな彼を好きになってしまうから。






それが嫌で─…

私は今日も凛くんをこっそり"束縛"する。






似合ってないダサい格好をさせて"カッコイイ"なんて嘘をつく。






ボサボサな伸びきった髪を切りたいと言う凛くんに"そのままの方が可愛くて好き"と言って、顔がさらけ出されるのを阻止する





───…嫌なんだ





凛くんを、誰にも取られたくないんだ。






っというのも…凛くんは自分がモテる素質のある人間だということに、気付くことなく生きてきたらしい。





それは彼がゲームオタクで、幼い頃から自らが勝手に身にまとっていた"オタク容姿"が彼のその宝石のような美しい顔面を隠してくれていたからで。






大学生になってもそれは健在で、初めて凛くんと出会った時も正直─…とんでもなくダサくて小汚い印象だった






───…それでも、

初めて出会ったあの日─…




凛くんは私を見捨てなかった。




泣き喚いて迷惑を掛けた私のそばで、凛くんだけが一人、ただ寄り添ってくれたんだ。

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