新しい人生

第6話 百合

カーテンのシャッという小気味良い音が朝日を迎えた。


彼女は高級な絹のランジェリーを着たまま、リビングに向かい電気ケトルにスイッチを入れた。


形の良い額と鼻筋、ふっくらとした唇、

長いまつ毛。

身なりと暮らしぶりは全くと言っていいほど違えども、真っ直ぐな瞳はあの日の犀川麗華のままだ。




あれから時が流れた。


犀川麗華さいかわれいかは死んだ。


正しくは「死んだことにした」だろう。


今の彼女の名は弦堂百合げんどうゆり


財閥、弦堂家のご令嬢


弦堂百合だ。





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