組織

第90話

リーが出て行ってからしばらく、なす術もなくヒヤマのベッドに腰かけていた。


ぼーっと見つめるのは、向かい側のベッド。


俺が戻るまで…と言ったから、そこは恐らくリーのベッドなのだろう。


今夜はあの牢屋の中の冷たい床で眠らなくていいのかと思うと、もちろん嬉しい。


だけどあの美しい男と二人なのは、正直怖い。








…彼が、わからない。


美しくて、優しくて──。


残酷な、殺人鬼。


わからなくて───彼が怖い。






ふと窓に目をやると、汚れた窓の向こうに青い空が広がっていた。


しばらくそれを眺めてから、部屋を見渡した。

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