第91話

物の少ない殺風景な部屋なんだけど…


わたしは、ふと気付いた。






リーのベッドの枕元。


まるで雑誌かなんかでも放り投げているみたいに、無造作に『銃』が置いてあった。


黒く不気味な光沢を放ち、当たり前みたいにそこに置かれたソレ。


普通に生きているならまず目に入ることもなさそうなソレが、ごく自然に彼の日常の一角にあった。






ゾクリ、とした。


彼は、一体何者?


わたしを誘拐した彼らは──。


ふと、思い出す。






『中国マフィアの間で一番恐れられてる殺人鬼』





ヒヤマはリーを、そう形容した。

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