第84話
開け放たれた、格子の扉。
あれ程出たかった、扉の向こう──。
胸が高鳴った。
わたしは一歩ずつゆっくりと、牢屋から外に出た。
この船から出られないにせよ、牢屋の中と外とじゃ大分気分に差が出る。
扉を潜り抜けヒヤマの横を通ると、わたしはその部屋の真ん中に立ち尽くした。
「売り物の女に入れ上げても、どうしようもないのによ。まあ、リーのやつは本土に着くまで楽しもうってつもりなんだろ。」
ヒヤマはぶつぶつ言いながら格子戸を閉めると、自分の後ろにいるわたしを振り返り、ふいに押し黙った。
上から下まで、わたしをじっくり眺めるヒヤマ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます