第58話
両手を力強く頭の上で固定され、両膝は乗せられた膝で身動き出来ないようにすぐに封じられた。
わたしの目の前には、あの髭面の男──。
鼻と鼻が触れそうな位置で、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべている。
両手を固定しているのは男の片手だというのに、わたしは身動き一つ出来ない。
なんて、力だろう──。
男は空になっているもう一方の手で、わたしの頬をスルリと撫でた。
そして嫌な笑みを浮かべながら、
「カワイイ。」
と呟いた。
「いやーーーっ!!!」
咄嗟に、大声を出した。
だけど次の瞬間、激しい痛みを頬に感じた。
目の前には男の拳があり、男は冷たい目付きでわたしを睨むと中国語で何かを言った。
それから手を引っ込め何かをベルトの辺りから取り出すと、わたしに見せ付けるようにそれを目の前にかざした。
それは───銀色に光る、ナイフだった。
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