第49話

そんなわたしを見て、部屋に来る誘拐犯達は口々に何かを言って来た。


ニキビ面の男、髭面の男、長髪の男──。


中国語だからわかる筈も無かったけど、食べろだとか飲めだとか世話を焼かすなとか、きっとそんなとこだろう。





だけどわたしは、頑なに断食を続けた。


どれくらい時間が経ったかんて分からないけど、目に見えて体力が衰えて行っているから、けっこうな日数が経っていたのかもしれない。






終いには殆ど姿を現さないヒヤマまでもがやって来て、「せめて水を飲め。」と彼らしくない命令口調で怒鳴り散らして来たけど、そんなことでわたしの決心が揺らぐはずも無かった。








そしてある日──。






久々に、彼が来た。

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