第47話
男は、それからすぐに部屋を出て行った。
食欲なんて、あるわけがない。
食べ物を見ただけで、吐きそうなくらい気持ち悪い。
咽はカラカラだけど、水だって飲みたくはない。
そうだ、いっそこのまま死んでしまおう。
売春宿に売られるくらいなら、死んでしまった方がいい。
もう、何もかもが信じられなくなったこんな世の中──。
早く、別れを告げてしまおう。
汚れた男達の慰みものになるくらいなら、この湿った牢屋の中で、干からびて、カサカサになって、死んでしまうんだ───。
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