第39話
喜びに満ち溢れていたわたしの顔が、突然重力が降りて来たかのように一気に強ばった。
「何言ってるの??約束でしょ!?身代金とわたしを引き換えるって!」
「ええ。勿論、そのつもりでした。」
「じゃあどうして!?そんなの卑怯よ!」
「ですが───。」
ヒヤマの伏せた切れ長の瞳が、哀れなものでも見るかのようにわたしを見下げた。
「あなたの母親が言ったんです。あなたを連れて行け、とね。」
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