第12話

頭が、真っ白になる。


──どうしたらいい?


そうだ、とりあえず、どうにかして逃げ出さないと───。







両手足を固定されているから、這うようにしてズルズルと体を移動させる。


その間もわたしの心臓は、恐怖で激しく鼓動を繰り返す。







命の危険を、感じた。


生まれて初めて──。


自分の死というものを、リアルに意識した。







死にたくない。


死にたくない。


ママに、パパに、幼い双子の妹達に…美姫(みき)と美夢(みゆ)に、また会いたい。






逃げるんだ。


どうにかして、ここから脱出するんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る