第10話

わたしの両腕は背中に回ったまま、動かなかった。


両手首に感じる、ひんやりとした重み。


──両手も、手錠で固定されているみたいだ。







怖さの余り、声なんて出なかった。


恐怖心だけが、じわじわと体を蝕んでいく。






どこかも判らない。


今が昼か夜なのかも判らない。


檻の中で、両手足を固定され──。








わたしの身に、何が起こった?








ゴクリ。


乾いた唾を飲み込む音が、やけに響き渡る。







まさか、誘拐───。

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