第40話

「ありがとう……」


消え入りそうな声でそう言うと、そこでやっとリキはわたしを見てくれた。


そして、優しい目をしてこう言った。







「それってさ、丸が2つ繋がって『無限大』って意味なんだって。考えた奴、すごいよな」


「そうだね……」


光沢を放つシルバーのそのペンダントトップに、そっと指先で触れてみる。


丸が2つ並んでいる様に見えるけど、実際は1つのものである不思議なその形。


「リキと、一緒だね」


そう呟くと、リキは何も答えずにただ優しい目をしたままわたしを見つめていた。







その時。


リキのジャケットの下に着ているわたしのコートのポケットで、微かな音を鳴らして携帯が震えた。


携帯を取り出し中を見てみると、それはコウからのメールだった。







【そろそろ仲直りした?

メリークリスマス、アゲハ。

明日も雪らしいよ。】







……勘のいいコウには、全てがお見通しだったみたい。

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