第39話

「こういうの、家にも買おっか」


リキと一緒にツリーの側まで移動し眺めながらそう言うと、突然リキは手を伸ばしわたしの脇腹の辺りに触れて来た。


リキが探っていたのはわたしに羽織らせた自分のジャケットのポケットで、やがてリキは中から何かを取り出した。






それは、綺麗な水色をしたとても小さな箱だった。


「あげる。今日早く家を出過ぎて、適当に歩いてたら見つけたんだ」


淡々と、リキはそう言った。






もしかして───プレゼント?


リキから『形』になるようなものは貰ったことが無かったから、びっくりした。


戸惑いつつも箱を受け取り、開けてみれば───。


それは、『無限』のマークのペンダントトップが付いたネックレスだった。







「アゲハには、そっちの方が似合うから……」


少し照れ臭そうにわたしから目を反らし呟くリキを見て、また嬉しくて涙が溢れて来た。


リキは、覚えていてくれたんだ。


わたしが、リキと同じタトゥーを入れたい、って言ったこと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る