第38話
「リキ、大好き」
わたしは泣きながら、伝えたかったことを真っ直ぐに伝えた。
「知ってる」
リキはそう言うと、少しだけ照れたように笑った。
それからリキはふいに手を伸ばし、歩道の先を指差した。
「ねえ、アゲハ。あのツリー見に行こう」
どんなすごいツリーがあるのかとリキの指差す先を見れば、それは美容院の入り口に置かれたごくごく普通のどこにでもありそうなツリーだった。
子供の背丈くらいの大きさで、サンタやトナカイの飾りがぶら下がりてっぺんには少し安っぽい星のオーナメントが乗っている。
「もうちょっと行ったら、すごいツリーがあるらしいよ。電飾を何万個使ったとかの……」
思わず笑いながらそう言うと、
「そんなのいい。ツリーは、ああいうのが一番いいんだよ。なんかあったかいし」
リキは、そう答えた。
「そうだね」
リキらしい考え方だなと思って、わたしは何だか嬉しくなってそう答えた。
そしてそっと、隣にいる彼に身を寄せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます